THE LET’S GO’s
(レッツゴーズ)
思い切り泣くもよし、
ムカつくもよし、
そこには何かしらがあるから
私たちのロックンロールを聴いてほしい!
Member(L→R) : ミィ (B/Vo) 山田モエコフ(Dr/Vo) COCO(G/Vo)
Interview / Text /Photo : Ayumi Tsubouchi(VAMP!/CHICKS RIO
ストゥージスやMC5が好きでも
前は好きなモノとできるモノとは別だったのが
全部がイコールになりました!
——では、ニュー・アルバム『I HATE THE LET’S GO’s』についての話に入りましょう。前作『REAMP!』で「ロックンロール・スターになりたい」と歌っていた人たちが新作では観衆に向かって「今夜キメてやる!」と頼もしく宣言していて、今回はメンバーの立っている位置からしてまるで違う作品だなとまず感じたのだけど、ご本人としてはどんな風にとらえていますか?
COCO そうですね、確かに前作は夢見る少女のような、憧れとかファンタジーのような感じがあったんですけど、新作はもうドロドロ…としていますね(笑)。
ミィ 前作は自分たちの頭の外にあるものを、こちらから「触りたいな」ってただ求めているような感じだったのかな。それがこの2年くらいの間にいろんな体験をしたことで、自分たちの求めていた“答え”というのはやっぱり自分たちの中にしかなかったっていう。そういうフィーリングでできた作品なんじゃないかと思っています。
——剥き出しの、ね。いやあ、見事に剥き出たね!
全員 あはははは! 剥き出たね!(笑)
——「今夜キメてやる!」と歌っている「Love My Show」では“今までは怯えていたんだ”というフレーズもあって印象に残っているのだけど、そういう感情って実際に心の中にあったものだったの?
COCO そうなんですよ(笑)。私っていつもおどおどして、誰かを頼っていてばかりで。でも“ステージに立つ時くらいはカッコよくやりたいぜ!”っていう思いを綴っています。
ミィ 『REAMP!』はあの当時の最大の波ではあったんですけど、新作ではその波をアッという間に超えてしまっていましたね。私たちも意外とできるじゃんって(笑)。
モエコフ 私たちにも案外伸び代がありました(笑)。
——(笑)レッツゴーズの芯となるロックンロールを基軸にポップさもヘヴィさも、ルーツ・ミュージックも現在進行形な感じも、新作ではバランス良く網羅されていますが、それってメンバーの中ではどのくらい意識的でしたか?
COCO 自分たちの中から湧き出てくる感情やフィーリングを常に尊重しているので、そこまで意識的ではなかったんですよ。もちろん、ライヴでこういうタイプの曲があったらいいなという気持ちから曲を作ることもなくはないんですけど。結局のところはフィーリングに任せて…というのが一番大きかったですね。今回のアルバムで言うと、最近できた曲の方が激しめ。それはライヴを積み重ねてきたからこそ生まれた曲だったかもしれないけど、自分たちの中ではわりと無意識のことでしたね。
——なるほど。バンド全体がそうだったようにミィちゃん自身にもすごい変化が起きているのが曲からすごく伝わってきたのだけど、ミィちゃんもクランプスばりに剥き出してきているなって。
ミィ うんうん(笑)。レッツゴーズはみんな性格が全然違うので、内容的には必然的にバラエティに富んだものになると思うんですけど、私自身については好きな音楽のジャンルが本当に広いんですよ。ココス(COCO)は好きなモノがハッキリしているタイプでも、私はこれもあれもそれも…っていう幅がさらに広くて。そして、前作を作った時は自分の好きなモノはこれ、でも自分が実際に曲としてやれるモノはその中でもこれ…っていう感じで、すごく狭かったんです。それが今ではこれも好きだし、そっちもいい、これもやりたいし…というのがほとんどイコールになってきた感があって。例えば、ストゥージスやMC5は好きだけど、それをやれるかどうかはまた別の問題という認識だったのがもう一緒になってきているという。で、歌い方もチャレンジしてみたら案外やれちゃったっていう感覚なんです(笑)。新作で感じ取ってもらったのは、そういうポイントかもしれない。
——なるほど。新作はだから、ここまで最強なんだね!
全員 うんうん!
COCO もはや性別すら超えているような気がします(笑)。
ファンの方々から
「衝撃!」の声が続々
——さっき、最近の曲はわりと激しめだという話が出たのだけど、新作のリード曲でもある「おつかれさまソング」は最近の曲?
COCO これは新作収録曲の中でも一番最後にできた曲だと思う。だからということもあって、今の私たちのフィーリングにもっとも近い形の曲ですね。これは私がメロディをつけてミィちゃんが歌詞を書いて…というパターンで作ったモノで、私の中ではこれまで(自分たちがやるには)ちょっと違うだろうって避けて通っていたものをあえて形にした1曲という感じなんですよ(笑)。ロック! っていう…うーん、何て表現すればいいんだろう…(苦笑)。
ミィ ちょっとおじさんっぽいヤツ、でしょ(笑)。
——えっ、おじさん?(笑)
ミィ どストレートすぎて、ちょっと恥ずかしいっていう(笑)。
COCO ロックだけど、メロディがあって、ちょっとエモいみたいな。そういうのって“日本のおじさんロック”っていうイメージがあってちょっと嫌だな…って感じちゃっていたんですけど(笑)、この時はこういうフィーリングだったんですよね。
ミィ しかも、その曲で私が歌詞をつけるということで話がまとまった時に、さっき話に出たミュータンツとコラボした時のように先にテーマとなる題材を聞いたんですよ。その方がやりやすいよねってことで。で、ココスに聞いたら答えが、“夢と労働”だったんですよ(苦笑)。ええっ、このご時世に何それ?って。
——(笑)このご時世だからこそ?
COCO ミィちゃんに曲を渡した時のイメージって、ギターウルフの“仕事をやってて〜月がよく見えたぜ〜”っていう、そうそう、「惑星ハート」だったかな。毎日働いているけど夢があって、今日も辛かったけど頑張ったって。泥汚れていても、心だけはキラキラしているっていう、そんなイメージがドーンとあって、それを一言で表現したら“夢と労働”になっちゃったんです(笑)。
全員 うふふふふ。
ミィ (笑)そこからイメージを膨らませました。
COCO だから、完成した曲を聴かせてもらった時は衝撃的でしたね!
——(笑)良い曲だし、いつの時代にも求められる曲だと思う!
COCO はい、結果的に良い曲になりました。
——オフィシャルでの新作リード曲は「おつかれさまソング」だけど、個人的なリード曲ってありますか?
COCO 私は、「222」なんですよ!
ミィ お、意外!
COCO 一番最後に録音したからということもあるかもしれないけど、すごくリラックスした状態で歌えて、爽快な気分で終われた曲だったんですよ。ギターも事前にどう弾くかをまったく考えずにレコーディングしていて、そんな風に自由に録ってみたら自分の大好きなジョニー・サンダースみたいな仕上がりになっていて(笑)。
——歌い方にも良い意味でラフさがあって。
COCO そうそう! 歌い方もレコーディングしていくうちにどんどん柔軟になっていったんですよね。曲によっては、スティーヴ・ベイタースっぽくしてみたり…私がやると結果的に“クレヨンしんちゃん”になってしまうんですけど(笑)。試行錯誤して変化させていた歌い方が徐々に馴染んで板についてきた頃、最後の最後で「222」を歌うことができたんですよ。チャレンジを重ねてきたモノと自分自身のアイデンティティが一致したスタイルでドーンと歌えたっていう自負のある曲です!
ミィ 私は「レザージャケット」なんですよ。というのは、レコーディング中、この曲に一番泣かされたからなんですけど。(新作でプロデュースを担当した)ネモト(ド・ショボーレ)さんに意地悪されて(笑)。
全員 ははははは!
ミィ 他の曲は思い通りに歌えても、この曲だけ、なぜかうまくできなくて、ネモトさんからもいいリアクションを得られなくて。結果オーライでよかったんですけどね。
ネモト・ド・ショボーレ ほら、そういうのがないと着地点が見えなくなるからね! 思い通りに進んでも、それはそれでつまらないってことだよ。
モエコフ (笑)前に配信リリースした曲についてはヴォーカルとミックスだけやり直しをしたので、私の歌っている曲「Ding Dong」も再録したんですよ。今回のレコーディングで歌い方を変えられたのが良かったなって。そして、自分としては「歌を入れ直したい!」って主張できたことが一番大きな出来事だったんですよ。以前の自分ならそれすら言い出せなかったと思うので。
COCO あの時にモエちゃんがそう言わなかったから、新作にはその曲は収録されなかったかもしれないね。
モエコフ かもね! 前回は「こう歌えばいいんでしょ?」っていう感じでブリッと歌っていたところが実はあって。自分としてもそこから何とか抜け出したいと思って取り組んだ再録バージョンを新作に入れることができて嬉しくて。だから、ぜひ配信版と比較してみていただきたいです。
ミィ 配信版を聴いてくれていた人から「衝撃!」の声を結構いただいているんですよ。ほぼ同じことをやっているのに全然違う仕上がりになっているので、みなさんもぜひ聴き比べてみてくださいね。
私たちの新作をきっかけに
ロックンロールを聴く人たちが
少しでも増えたらいい
——ところで、新作『I HATE THE LET’S GO’s』のレコ発が3月10日からスタートするそうですね。
モエコフ はい。新代田Feverにて、キノコホテルとTENDOUJIの3マンでやります。ジャンルはそれぞれ違うんですが、今キラッとしている3バンドのライヴを楽しんでいただけたら良いです。って、たぶん、うちらが一番楽しんでしまうと思うのですが(笑)。
ミィ 今回のレコ発のサブ・タイトルがね、“First Hate”って言うんですよ。
——意味深。“キライキライも好きのうち”的な意味合いなのかな?
ミィ うん、それもあるし、いろいろ深いんですよ(笑)。だから、あえてみんなにも想像していただきたいなって。
——そこはあえてメンバーの解説は入れずにおく…ということで。
ミィ いや、言ってもいんですけど(笑)。
——…えっ、いいの?(笑)
ミィ でも、みんな通ずるところがあるんじゃないかなって。この作品を聴いている人なら。そして、答えはひとつじゃないので、やっぱり言わないでおきます(笑)。
——了解です(笑)。では、これから始まるレコ発に向けてメッセージをいただけますか?
COCO やっぱり新作を聴いて、ライヴを観に来てほしいという言葉に尽きるんですが、もっと言うなら会場ではこれまでとはちょっと違う層の人たちとも会えたらいいなって思っています。私はやっぱり、ロックンロールやパンクが大好きだから、私たちの新作をきっかけにこういう音楽を聴く人たちが少しでも増えたらいいなとも思うし。今、世の中的にちょっと下火になってきている感じがあるので、余計にそう思っています。
ミィ そうだね。そして、中学生、高校生にも私たちのロックンロールが届いたらいいのに!って思う。そして元気出してほしいって願っています。
——ロックンロールはいつでもティーンの味方だからね!
ミィ うん、もちろん! もっと言えば、元気になんてならなくてもいいんですよ。私たちのロックを聴いて、思い切り泣くもよし、ムカついてもよし、そこには何かしらあるから。とにかく、聴いてほしい。そして、ライヴ会場に来てほしいって思っています!
(レコ発ライヴの詳細はこちらから)
(<<<インタビュー前編はこちら)